FAST:関係の中で自尊心を保つDBTのスキル
難しい対人的な瞬間で自分に正直であり続けるための4つの行動
FAST(DBT):自尊心を保つスキルを解説
FASTは、マーシャ・リネハンが開発したDBT(弁証法的行動療法)の対人関係スキルで、関係の中で自尊心を保つためのものです。4つの文字はそれぞれ4つの行動を表します。Fair(公正)——相手にも自分にも同じ基準を適用すること。不要な Apologies(謝罪)はしない——実際に害を与えたときに謝罪し、ニーズや限界、意見を持つこと自体を謝罪しないこと。Stick to values(価値観を貫く)——その場の気まずさを減らすために本当に信じているものを手放さないこと。Truthful(誠実)——嘘をつかない、誇張しない、「したくない」というのが本当のところなのに「できない」と偽って無力さを演出しないこと。DBTはこれと並んで二つの姉妹スキルを教えますが、それぞれが最適化するものが異なります。DEAR MANは求めるものを得ることを、GIVEは関係の健全さを、FASTは内的なコスト——やり取りが終わったあとも自分らしさと自尊心を保てているかどうか——を目指します。
求めていたものを手に入れ、関係も壊さずに済んだとしても、そのやり取りが空虚に感じられたり、妥協した、あるいは大切な何かを裏切ったように感じられることはあり得ます。FASTはこの結果に取り組みます。それは、困難なやり取りを経ても自尊心が生き延びるための行動——自分に公正であること、謝りすぎないこと、価値観と一致した行動をとること、正直であること——を実行可能な形にします。この頭字語は、プレッシャーがかかり誰も付箋を確認する余裕などない会話の最中でも、4つの行動を思い出せるようにリネハンが作った記憶の補助です。F は Fair(公正)、A は(不要な)Apologies(謝罪)をしないこと、S は Stick to values(価値観を貫く)、T は Truthful(誠実)。FASTはDBTの対人関係効果性モジュールの中で、DEAR MANやGIVEと並んで存在し、この三つが一緒に教えられるのはまさに、実際の会話の中でそれぞれが異なる方向へ引っ張るからです。以下の実践は、それぞれの要素を、なぜそれが重要なのかというメカニズムとともに解き明かします。
実践法
- 公正であること:他者に向ける公正さの中に自分自身も含める
自分が尊敬する誰かに対して適用するのと同じ公正さの基準を、自分自身にも適用する。
- 謝罪:存在すること、望むこと、限界を持つことへの謝罪をやめる
謝罪は実際に与えた害のために取っておく——ニーズ、感情、意見を持つことへの謝罪ではない。
- 価値観を貫く:自分にとって本当に大切なことと一致した行動をとる
立場を妥協する前に、その妥協が核となる価値観と対立していないか確認する——対立していれば保持する。
- 誠実であること:嘘や誇張、演出された無力さを排する
実際に真実であることを言う——それが「できない」ではなく「したくない」であるときも含めて。
- 自尊心を成果の指標として使う——望むものを得たかどうかだけでなく
どんな難しいやり取りのあとでも「自分の振る舞い方に自尊心を持てるか」を問う——「勝ったか」だけではなく。
- 関係と目標の両方が懸かっているときFASTとDEAR MANのバランスを取る
望むもののためにDEAR MANを、関係のためにGIVEを、そして自分自身のためにFASTを使う——そしてそれらが対立するときにどちらを重視すべきかを知る。