行動しないことを、不作為ではなく損失として組み立てる
行動しないことで何を失うかを強調する方が、行動することで何を得るかを強調するより人を動かすことが多い。
Why it works
損失回避(カーネマン&トベルスキー)は、損失が同等の利得よりも感情的な影響としておよそ二倍重く感じられることを意味する。行動しないことのコストを損失(「Xを逃すことになる」)として組み立てることは、行動することのコストを利得(「Xを手に入れる」)として組み立てるよりも、この非対称性を利用して現状維持を安全でないものに感じさせる。
How to do it
- 先延ばしをしているとき、遅らせるたびに何を失うか(収入、健康、人間関係、スキル)を明示的に名づける。
- この文章を書く。「今週Xをしないことで、私はYを諦めることを選んでいる」。
- この組み立てを始めに使い、勢いがついたら肯定的な組み立てに切り替える——長期間にわたる否定的な組み立ては不安を増す。
エビデンス
損失回避は意思決定科学の中で最も再現された発見の一つだ。損失フレームと利得フレームが決定行動に及ぼす非対称性は、実験室とフィールドの両方の設定で頑健だ。 (rct)
損失フレーミングは行動を促す上で強力だが、持続的に使うと不安を増し内発的動機を減らすことがある。それは持続させるものとしてではなく、始めるものとして使うのが最善だ。
出典
- Kahneman & Tversky (1979), "Prospect theory", Econometrica
- Halpern et al. (2015), "Randomized trial of four financial incentive programs for smoking cessation", New England Journal of Medicine (loss-framed incentives outperformed gain-framed)
よくある間違い
すでに不安を引き起こしている行動に損失フレーミングを使う——それは動機づけの効果を加えることなく苦痛を増幅させ、接近ではなく回避を生む可能性がある。
IX Coach でこれを実践する
More practices for 選択アーキテクチャを実践する
- 偶発的な選択アーキテクチャがないか物理環境を点検する
今の環境が自分をどこへ促しているかを地図化し、それを意図的に作り直す。
- 選択肢の位置バイアスを利用して順序を再設計する
人は不釣り合いに最初か最後に並んだ選択肢を選ぶ——最良の選択肢をそこに置こう。
- 分割を使って資源の使いすぎを制限する
資源をより小さな単位に分けることで、一度に消費する量が減る。
- カテゴリーラベルを使って選択肢の感じ方を変える
食品を「低脂肪」、手数料を「無駄な手数料」、選択を「責任ある選択肢」とラベルづけすると、その感じ方——そして選ばれ方——が変わる。
- 選択肢の数を減らして実行力を高める
選択肢が多いほど決定は悪くなり行動も減ることが多い——意図的に選択肢を絞ろう。
- 多段階の選択を構造化して途中離脱を防ぐ
複雑な行動を、見える進捗とともに順序立てられたステップに分けると完了率が上がる。